タイ・バンコク (24)
そういえば池野さん、「らりるれろ」が少々ヘろってます。舌が喉の奥へ引っ込む速度がのろのろしているようです。不安になりました、この人達と一緒にビルマ経由でインドへ入って大丈夫なんだろうか。もう一緒に連れて行ってくださいと言ってしまったあとだし。
今から断ればまだ間に合う、一人でインドへ行くのも心細い、彼らはもうインドは旅行しているしほんの２．３ヶ月前の事だから新鮮な情報を持っているし、だけど空港で一緒に捕まるのも嫌だし。頭の中をぐるぐると意識が回り始めました。目の前のテーブルには、もう話題が他のことに変わって高田さんと池野さん会話を続けています。
何分間か私、黙り込んでいたようです。
「じゃ私ら、ちょっと出かけるわ。」
「８日にＵＢ（ビルマ航空）で出発と言うことで、準備しといてよ」
どちらかが話しかけたようです。 そう言い残して、彼らレストラン出ていきました。
「えっ、うん、あ、そそうですね。」
返事するのがやっとでした。
「凄い話ですね。」
中村が話しかけてきました。 そうだ中村達も同じテーブルにいたんだ。
「ああなんか不安になってきたよ、一緒に行くって言ってしまったし。」
「そういえば、アメリカ人でトルコの刑務所に麻薬の持ち込みで捕まって何年も出てこれてない人いるみたいですよ。一週間ほど前にヨーロッパからきたドイツ人が言ってました。新聞でかなり騒がれているようですが。」
中村、おい、おい、おい、首つり中に足引っ張る様なまねはよせ。
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