タイ・バンコク (21)
「突然、しなびた風船に空気が入った感じで親父よみがえったね。オーララ、オーララよ。廊下でタップ踏み始めてさ。その日の夜は、3人で、と言うより主に話したのは俺と管理人だけどなんかいい感じだった。遅れてきたロマンチックを有り難うてなもんだった。」
「その後も、食事は一緒にしなかったけど、ボタン付けくらいやってあげてたみたい。お袋が日本へ帰る前の日、管理人おんおん泣いちゃってサー、もうちょっとパリにいたら良いではないか見るところたくさんあるとか言って引き留める訳よ。息子の貴方からも、2週間は短すぎると言ってくれ。」
「そんなこと言っても、予定は予定だし、日本でも親戚の仕事手伝ってたからそうは自由きかないし。俺も思わずちょっとほろっとしたね。で、結局予定通り出発したんだけど、お袋もまんざらではなかったなーと思ったわけ。帰国の荷造り手伝っていたら、あのレストランのナプキンがでてきたわけ。きちんと洗ってアイロンかけてあった。ふーんと思ったよ。お袋あわてて、ナプキン持ってきた言い訳何か言ってたけど。」
そんな坂田さん、その後2日ほどタイソングリートにいましたが、松原さんと一緒にもっと安い駅前のロッジに移りました。私らと違って年単位で旅行してましたから、ちょっとの料金差でも大変重要なことだったのです。
次の日4月6日タイの記念日で全ての航空会社公官庁がお休み、本当にやることありません朝からレストランに座ってボーとしていました。中村達も一緒です。 そこへ昨日到着した熊男とヒラメ顔のコンビが上の部屋から降りてきました。
熊男は、高田さん、ヒラメ顔は池野さんと言いました。雰囲気はただ者ではありません。坂田さんらとは違ったちょっと危ない雰囲気の人達でした。
私「バンコックはまだおられるんですか。」
知らない人と話すと慣れない標準語になってしまいます。
高田「いや、8日にはラングーンへ行くけど。」
私「えっ、私も8日にはラングーンへ出発するんですが。ビルマ航空ですか?」
高田「そうだよ、一番安から。」
おっと、同行者が出来そうです。
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