vol.127 マレー半島南下 (12)
ペナンで見た、白人旅行者に対しての羨望感、旅行中ずーっと続きました。
何十年何百年前から、陸続きの地の利を生かして圧倒的な人数と、気の遠くなるような金額使って、あるいは植民地から稼いで来た連中に比較して、やっと数年前から庶民が苦労しながら海外に出かけることができるようになった国、そこから万国博覧会が地元で開かれたという幸運なチャンスを生かしてなんとかでてこられた私。
70年初期に20代を迎えた私達はまだまだ恵まれていました。
アジアの他の国からは、日本以外、マレーシアからほんの少数の若者がでてこれるようになった状況で、日本人以外アジアからの個人旅行者は皆無といってもいい状態でした。マレーシアからの連中、インドとかバンコクでその後希にあうこともありましたが、決まって金がほとんどない、そのため、人がいい旅行者はいなくて、二癖も三癖もある、妙に世間ずれした、ぴりぴりした緊張感持った人たちばかりでした。
日本で比較するなら、1950年代後半とか60年代前半の海外旅行自由化前夜の時期に何かが間違って、個人旅行へ出かけるチャンスができた人達に相当するのでしょう。
私は、ホテルへ帰る道すがら、ジョージタウンの繁華街のショウウィンドウに写る自分の姿を見て、気分が沈み込んでしまいました。
長袖のサファリジャケットに、香港で買った安物のサングラスをかけ、淡路のスーパーで買った青の特売の綿パン、黒のバックスキンの靴を履いて、カメラバックをかついでいる自分が写ってました。
ほんとうは、ここ一ヶ月ほどでもっとかっこうよくなってきてると思いこんでいたのです。ジョンレノンのレベルまでいってるとは思いませんでしたが、今風にいえばGAPのCMにでてくるモデルの姿勢を少し猫背にして小太りにしたくらいの、センスは身に付いたと思っていたのです。
ははは、ちきしょう、ホテル帰って寝るしかありません!
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