vol.125 マレー半島南下 (10)
「冗談を、二個なら30$だよ。」
ん、ちょっと手強い相手のようです。
「なら、二個20$。」
16$と最初いうつもりでした。気後れしました。18$とも言えませんでした。
「ノーノー、これは定価だよ。二個30$」
しぶとい女の子です。 そうだ俺、学生なんだ。
「学割無いの?俺学生だからお金無いよ。学生割引、学生割引。」
「もう15分でお店閉まるよ!」
思いがけない逆襲です。
「に、に、25$二つで。」
「ノーノー、フィクスプライス。」
「じゃあ、26$」
「俺学生だし、学割は?」
交渉しようにも時間ありません。
「アイ、アム、ステューデント」
以外に安くし てもらう理由がしゃべれません。
「二個でも、30$」
「28$、俺学生だし。」
「オッケー、二個28$。」
ちっきしょう、一個1$しか安くなりませんでした。 店を出て宿へ向かいました。やけに空の財布が重く感じました。買うつもりはな
かったのに、無駄な買い物をしてしまいました。胃の中も急におもっくるしくな ってきました。
「ハーイ、ショッピング?」
突然後ろから声をかけられました。振り返ると同じ宿に泊まってるイギリスの女の子3人ずれです。金髪のヒッピースタイルの白人が2人一緒です。
「イエス、スベニアー、フォーマイフレンド」
次がでてきません。
「ヤー?ソウ、シーユー。」
「グッドナイト」
あっさりしたものです。それだけいうと、女の子と、2人の男は手を振っていっ てしまいました。
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