vol.069 タイ・バンコク (35)
ジミー「えっとホテルはどこだったっけ」
私「タイソングリート」
彼は手に持っていたタイ語の新聞にメモを取りました。
ジミー「今日はボートのトラブルで申し訳ない。」
私は、もう気分は沈みっぱなしで返事をするエネルギーは残っていません。
私「あー、やー。」
かったるそうに答えました。
ジミー「明日、6時にホテルへ行くよ。」
私「6時かい?」
ジミー「夕方6時だ」
船着き場にいた船はUターンして河を横切り見る見る間に小さくなっていきまし た。
ジミー「あっ、このバスに乗ればバンコク中央駅を通る。私達ここで。」
彼らに押されるようにしてバスに乗り込みました。窓の外を見ると二人して手を振ってくれています。バスはすぐ発車しました。
私は手は振りたくありません。そんな気分ではありません。 20分も走ったでしょうか、見慣れた町並みが見えてきました。バスを降りてすぐタイソングリートへ駆け込みました。
疲れたとにかく疲れた。今日起こった出来事をどう判断して良いのかわかりません。 たぶん70%以上の確率で騙されたのです。でも、お金を明日返しに来てくれるかもしれません。
せっかくバンコックで最初に知り合った現地の人なので、信用したい気分があります。しかし考えれば考えるだけおかしな事も多いわけです。2年いて日本語がほとんどしゃべれない事ってあるのか?船頭とあの2人まんざら他人のようには見えなかった。そういえば写真も撮らせなかった。何が敬虔な仏教徒だ!
ぶつぶつ言いながらレストランを抜けて階段を上がろうとしたとき、日本語が聞こえてきました。
「田森さん、田森さん」
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