vol.066 タイ・バンコク (32) 岸に近づく
船は快調にチャオプラヤ川を滑っていきます。船は小型だけあって小回りが利きます。支流にもどんどん入っていきます。目の前で子供が水遊びをしています。おばさんが夕食の支度をしています。物売りが家の前の船着き場まで船を乗り付けて値段交渉をしています。
地図を出して今いるところを聞いたのですが、2人ともなにやら適当な返事です。自分たちの今いる場所も地図上でよくわかってないようです。
何かまいやしません、船頭は地元らしくなんの戸惑いもなく舵を取っています。 小一時間ほど、小さな支流を回りました。私達には、観光客相手の物売りもよってきません。というより観光客がほとんどいない支流を彼らは見せてくれたのです。感謝感激です。
私「アイアム、グラッド、ツー、シー、ユー」
ジミー「ホワット、」
風切り音がすごくて聞き取りにくいようです。
私「アイアム、グラッド、ツー、シー、ユー」
ジミー「ネバーマインド、ネバーマインド」
いい奴らです。
ジミー「ソー、オールモストフィニッシュ、アーユーエンジョイ?」
もちろんです。
私「楽しかったよ、今度日本に来たら大阪案内するよ。そうだ、今日俺の泊まってるホテルで飯食わないか。」
ジミー「いや今日は都合悪い、また都合良い日を連絡するよ。どこにとまってる?」
私「タイソングリート、バンコック駅のすぐ近くだ。」
船は支流からチャオプラヤ川の本流に戻ってきました。周りには観光客のボートは一隻もいません。通勤の乗客を運ぶ船とか、荷物を運ぶ船が川を行き来しています。私達の乗ったボートはだんだん岸に近づきます。
でもここがどこなのか場所が全然わかりません。私は地図を取り出してジミーに渡して聞きました。
ジミー「えっと、チョトマッテネ」
下手な日本語です。大阪大学に2年留学したにしては、大変下手です。勉強嫌いな奴だったのでしょう。
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