vol.019　沖縄 (1)

船に乗って二日目の朝です。船の揺れも収まったようです。

猛烈におなかがすいてきました。そういえば昨日はほとんど食べ物を食べていません。皆も同じだったようで食堂は今日の朝は混んでました。 　

食事が終わった後デッキに出てみました。昨日の戦場のような状態が嘘のようです。昨日のカエルの人たちが今日はしっかり旅行者してました。昨日はしゃがんでヤンキーやってましたが今日はちゃんと立って海を見てます。 　

天候は晴れ、微風、青い海の上を船は滑るように進んでいきます。船の近くを飛び魚が飛んでいきます。気分は上々、もうすぐ那覇です。 　

那覇には予定より１時間ほど遅れた、１０時前に入港しました。２年前に一度来てますのでとまどいはありません。以前はＹＨに泊まったのですが、今回は船で知り合った人の所へ泊めてもらいました。当然、あのうっとおしい理論家君ではありません。那覇の国際通りから歩いて２０分くらいのまことに便利なところに家がありました。ここで２日滞在して、琉球海運の船で石垣島経由基隆へ入ります。石垣では２年前お世話になった人の所へ泊まって一週間滞在する予定にしていました。 　

久々に食べたゴーヤチャンプル、やはりすごいにがかったです。豚の角煮の方が皆の口にはあったようです。ここでは私はひたすら寝ました、インドへ向けて体力を温存しなければなりません、彼ら２人は那覇滞在中あちこち回っていたようです。 　

夜になりました、田島、中島ともそわそわし始めました。こいつら台湾へ行く目的は旅行より「なに」の方がメインでしたから、沖縄でも予行演習をしたかっ たようです。

「おい田森、お前前に来たとき遊びに行ってへんか。」 　

残念ながら前回はまことにまじめな旅で、遊ぶお金もなかったので那覇の歓楽街は知りません。 　
人んちに泊まっていてそこから夜遊びに行くのも何だとは思ったのですが、私元来、好奇心が強い方ですので、２年前の記憶を頼りに出かけることにしました。確か飲み屋街は、サカエマチ、とかマエジマと呼んで、もろ「ナニ」のところはツジとか言ったはずです。今日はお二人さんのご要望もあってマエフリなしの即本番というとこで「ツジ」へ直行です。途中道間違えたりしましたが、２年前の地図はまだ有効でした。現場９時過ぎに到着しました。 　

２月ですが、大阪に比べればかなり暖かく、ウインドヤッケとセーターはもう必要ありませんでした。そんな那覇なのにここだけは全然暖かくありません。ピンクとか紫の毒々しい灯がめだつ通りにやってきました。そうだここです、人通りはそれなりにあるのですが、妙にリアリティのない寒々しい通りです。１０代の女の子がミニスカートで呼び込みやってます。小山のような外人が値段交渉をしています。どうも私たちにはまだちょっとハードすぎる所です。雰囲気察して田島がぽつりと言いました。

「ここちょっと怖いな、今日見るだけでやめとこう」

私もその方がいいと思いました。