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【 片山くんが行く(56) 】
私達の姿見て、ちょっととまどったようです。謎の東洋人青年が2人、入り口で「ハローハロー」と叫んでます。日本でもジャズダンスの教室に、それっぽいかっこいい外人が「こんにちは」と言って立ってたら、やはり少し固まります。彼は頭拭く手を泊めて、少し警戒したような風で挨拶しました。
「ハーイ」
河本は、一気に自分たちの来訪目的を喋りました。
「私達日本から来たのですが、空手の道場があると聞きました。コペンはもう3ヶ月近くになります。日本の空手が懐かしくてここへ来ました。なんの用事もないのですが、練習見ても良いですか?」
やっと彼にっこり笑いました。道場破りとは思ってはいなかったでしょうが不信感は少し抱いていたようです。
「もう一時間ほどしたら、生徒達来るから事務所でちょっと待っていて」
練習場の隅は小さく区切られていてそこが事務所になっていました。座って待つうち彼はいろいろ聞いてきます。空手の流派はどこかとか何年くらいやっているのかとか、コペンに来て何やってるとか。私の属している流派とは彼は違う流派でした。まあここまで来れば同じ空手と言うことで親近感は確実にわいてはきますが。
私達てっきり道場を開いているくらいだから日本に来た事があると思いこんでいたのですが、空手習ったのはオランダで日本へは行きたいけどまだ行ったことはないとのことでした。
話しながら彼は、バスタオルをとってすっぽんぽんになりながら、事務所とロッカールームの間をうろうろしています。私達、その気はなくとも赤面してしまいました。普通日本なら、よほど親しい仲でもすっぽんぽんではうろうろしないでしょう。
ここでは、案外ロッカールームなどでも特に前を隠す動作はありませんが、それにしても普通に話しながら、周りを素っ裸でうろうろされた日にはとまどってしまいます。ちょっと経ってやっと彼は空手着を着てくれました。
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