トラベルメイト > 片山くんが行く
<<前のページ 次のページ>>
-
【 片山くんが行く(55) 】
毎日が旅行と言うよりも、生活で過ぎていきます。朝起きて食事して職場に通って、仕事してちょっといっぱい引っかけて週末になるとどこかのパーティに潜り込んで受けをねらう。
この頃はもう日本の電気製品とかカメラ等かなり優秀だと言うことになってきてましたので、「ジャパン」は少しは名前が知れていました。
日本人自身はまだ現物の絶対数が不足してました。どこのパーティでも希少価値がありました。パーティと言えばダンスは付き物、日本では硬派の私達でありましたのでダンスなど、本当はしたいけどとんでもないと思ってましたので最初はとまどいました。でも見よう見まねで踊ってるうち少しは様になるようにはなりました。
ちょっとはパーティにとけ込んでいたある日、空手の話になりました。話を続けるうち「何とか空手協会」なる道場があって、10人から20人くらいは週末練習をしていると言う情報を聞きつけました。これは行かない手はありません。何か懐かしいではないですか。聞けば日本人ではなく、デンマーク人の先生が教えているとのことです。どんなことやってるか興味あります。少し日常生活に飽きてきた頃ですから早速、次の日仕事が終わってすぐ道場に行ってみる事にしました。
今なら電話かけて、自己紹介してアポイントを取ってからと言うことになるのでしょうが私ら事務職じゃないので電話と縁がありません。確かこの時まだイブ君ちには電話がなかったように思います。ですからメモ用紙の裏に書いてもらった地図を頼りにとにかく行ってみました。
表通りから少し入った裏通りのビルの一階に道場はありました。ドア開けて中を覗いてみました、まだ夕方には少し早い時間でしたので誰もいません。壁には提灯がぶら下がっており、そこには「空手」と漢字で書いてあったのですが、残念なことに逆さにぶら下げてありました。板張りの道場はそうは広くなく、10人も並べばいっぱいになるくらいでした。
「ハロー、ハロー」
数回呼びかけてみました。奥の方でシャワーを浴びてるらしい水の音がします。5分ほど待ったのでしょうか、40くらいのオッサンが、バスタオルを腰に巻いて頭拭きながら奥のドアからでてきました。
<<前のページ 次のページ>>
↑ページ最上部