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【 片山くんが行く(43) 】
どの国でも家庭料理というのはいいものです、お腹も体も頭も非常に喜んでいました。そのとき食べた料理今ははっきり覚えてはいません。確か、シチュウのような物にジャガイモ、パンだったように思います。
奥の部屋から14,5歳の男の子が出てきました。
イブ「弟のニルス。」
私たち、口いっぱいジャガイモを頬ばっていましたから直ぐには言葉が出てきません。
ニルス「ハロー」
私達「ハ、ハロー」
ソフアーに座って弟に私達が何者なのかを説明してくれてるようです。盛んに空手のまねをしたり、「アヤー」とか奇声を上げて弟の頭を小突いたりしています。先ほどのもめ事を彼なりに脚色しておもしろおかしく弟に話しているようです。
イブの母「イート、モア」
すみません、先ほどの立ち回りでかなりエネルギー使ったみたいです。もう一杯シチュウをおかわりしました。
イブとニルス夢中で話をしています。お袋さんは台所で片づけをしています。私達はテーブルでコーヒーを飲んでいます。
窓もない家具も一切無いコンクリートの上に寝袋を引いてその上でコーラを飲む生活と、家具とか絨毯が引いてあって窓がありカーテンがかかっていて、かび臭くはない空気。
やっぱ、良いです。
イブ「さっきのあの、スティック使って見せてよ」 ニルスも期待に満ちた顔でこちらを見ました。イブ、母親も呼びました。日本の武道を見せてもらおうとか何とか言ったのでしょう。デンマーク語だったのでよく解りませんでしたが。
イブ「さー、ゴウ、頼むよ」
ゴウというのは私のことです。KATAYAMAよりGOの方が数倍呼びやすいです。一宿一飯の恩義があります。パフォーマンスはやらねばならんでしょう。
そうは広くはないイブ君ちです、ソフアーと電気スタンドを片づけ演舞のスペースを作りました。これで日本刀でもあれば河本の剣道対、片山のヌンチャクの戦いがみられるのですが、今回は無いので物置探して適当な長さの棒を持ってきてもらいました。どうもハンガーかけの余った奴のようです。
最初は私の空手の呼吸法と型、次にヌンチャクの基本形、途中から河本が参加してヌンチャクと刀の戦い、受けに受けました。わざとヌンチャクと棒っきれをカンと音をさせて見たり、パフォーマンスをやりましたから。
すっかりイブ君一家、私達を気に入ったようです。演舞は一時間ぐらいで終わりました。今夜はこの広間で寝ることになりました。
イブの母「今夜は楽しかった、有り難う、それで夫にも相談しなければならないのだけども、一週間くらいはここからホテルに働きに行ったら。」
ありがたい申し出です。
イブ「そうしなよ、あす、オーレと話してから決めてもいいけども」
イブの親父さん、今日は夜勤だそうで明日の早朝にならないと帰ってこないそうです。先ほど、お袋さんがオーレの部屋に来る前に親父さんの勤め先に電話して一応の了解は取ってあるそうです。
河本「有り難う、オーレと話してみるけどここ数日はお世話になります。」
本当に久しぶりでした、なんの緊張もせず熟睡したのは。自分たち野宿にも慣れどこだって眠れるなんて思っていたのですが、やはり安心できる家庭の中は、全身の筋肉と、頭の中にある不随意筋が一気に弛緩しました。
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