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【 片山くんが行く(41) 】
文字通りの三竦み状態が続いています。もう言い合いに疲れてきました。私達は当然譲るつもりはない。金髪組も手違いとは認めても泥棒したとは認めない。オーレは優柔不断、訳ありのため警察嫌い。ここの部屋もオーレによれば、訳あり警察呼べず。
私達にすれば、先住民族、2人組にすれば友人の部屋先住民族は黄色の人、オーレにすれば、双方知り合いで好意で泊めてやってる、部屋代もらってない。部屋代払ってないのも悪いけど、そのおかげでお金は貯まってきてる。当たり前だけど自分のせいでないのに部屋出たくはない。
こりゃ根気比べで徹夜になるかなと思い始めたときイブ君が帰って来ました。しかもお袋さんを連れて。
お袋さん早速、オーレと2人組相手に話を始めました。もちろんデンマーク語なので内容は解りません。でも、こちらに味方してくれてる様です。イブ君こちらを向いて、二やっと笑ってウインクしました。
イブ君のお母さん年の頃は40過ぎでしたでしょうか、ほとんど私と変わらないくらいの身長と体格でした。膠着していた空気が一気に変わりました。オーレ君はもちろん、2人組も自分のお袋と同じ様な年齢のおばさんには弱いようです。神妙な顔つきで彼女の話を聞いています。
「イブどうしたんだよ」私は小声でイブ君に聞きました。
「余りよくなさそうだったので家で相談してみたんだ、そうしたら母が私が話を付けてやるというもので連れてきたんだ。まあ母に任せておけば良いとは思うけど」
正直言ってこの助っ人にはほっとしました。密室のなかの若い野郎同士の喧嘩話が、イブのお袋さんが加勢してくれることで一気にとげとげしさが無くなり、ご近所のもめ事の仲裁話に変化していきました。
イブの母「イブに話を聞きました。あなた方はたぶん悪くはないと思います。でもここにいたらまたもめ事が起こります。あの2人、あまりいい人達ではありません。」
河本「解ってます。しかし私達ほかに泊まるところがありません。ここにいればお金いらないですし、職場も近いですし。」
イブの母「ここにいても今日話が終わるわけではありません、今日の夜は私の家に来なさい。数日なら泊めてあげますから。その方が安全です」
思いがけない話に、私と河本顔を見合わせました。
イブ「お母さんそう言ってるから、うちに来たら。」
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