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【 リロとハズキのチャリトリップ(9)(カルドッソの家) 】
「やーウエルカム、自転車で旅行してるのかい、この前も日本人が長く泊まっ てったよ」
ガイドを見て立ち寄ったコーヒーショップで、調子のよいおやじが奥の厨房からでてきた。ここは安宿もかねている。
「部屋はあいてますか」
「もちろんさ、二人部屋で一五〇ルピーだ」
ペドロ・フェルナンデスは、中東でコックの仕事をしていたという。私たちが注文したチーズオムレツは、変なアレンジがされていなくてとてもうまい。
「見てくれよ、部屋の壁には日本人が書き残したメッセージがあるんだ」
彼にとって日本人は良いお客さんのようだ。さそわれるままに行ってみると、家族のいる薄暗いリビングの鴨居に、セピア色に変色した軍服姿の父親の写真がかけてあった。私達は彼の熱心な営業にまけて、とりあえずここに泊まることにした。
カラングートは旅行者にとって居心地のよい所だ。外国人だけではなく国内の観光客もビーチで波とたわむれ、とてもリラックスした雰囲気がある。村の経済もうまくまわっているらしく、店でぼられたり、ひつこい物売りに悩まされることはなかった。
午前中はすがすがしい朝の空気の中を、自転車でヴァガやアンジュナまで出かけた。日が傾いてくるころには、五キロも続く浜辺を、足を水に浸して散歩するのが日課となった。夕暮れ時になると、私たちは浜にあるレストラン「ソーサロボ」へ自然と足がむかう。
アラビア海に沈む真っ赤な夕日をながめながら、地元産のビール「キングフィッシャー」をやるのは最高のひとときだ。こんな夢のような日々を送っているうちに、二週間がすぎた。
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