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トラベルメイトトラベルメイト98

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「トラベルメイト98」
  1. 【 昔の旅行者(3) 】

     この頃の旅行者がと言うより、旅行サークルのリーダーの内の一人、がどんな考えでいたのかちょっと見てみましょう。この発言は1967年6月の物です。今からちょうど32年前。まだまだ21世紀は遠く、コンピューターのコの字もないころです。TVはまだ白黒が多かったときです。

     番組は、アメリカホームドラマとウエスタン全盛のころで、ララミー牧場とかルーシーショウが大人気でした。「少年マガジン」とか「サンデー」は大学生の間で大人気で、ジョージ秋山の「パットマンX」が連載されたのもこの頃だと思います。



    題名はこうなってます。

    「健全で質素な磁力の旅」.......S.N

     この中で彼は、この海外旅行研究会が対象とする人達は、と解説してます。

    **では、研究会が対象とするのはどんな旅を計画している人でしょうか。

     まず私達の研究会がユースホステル協会に所属してることを思い起こして下さい。「健全で質素な自力の旅」国内、国外を問わず、これこそ私達の旅です。飛行機で有名観光地を飛び歩く、物見遊山的な旅ではありません。 一昔前ならもてはやされた極度に自分の体力をすり減らす、冒険旅行でもありません。

     今ほとんどの人が口にする、個人旅行への思いが同じ形でもうでてきています。ただこの当時はほとんどのメディアは、個人旅行には好意的ではありませんでした。きちんと、公的機関から派遣された人達とか、大手企業の駐在員、正式な留学生によく迷惑をかける無責任なプータロウになりやすいと言われていました。但し書きは必ず付きましたが。「真面目に旅行している、旅人も多いのだが」



    さらにこの頃の海外旅行への困難さを「三つの条件」と題して語ります。

    **海外旅行を実行するには、三つの条件があります。

    一つはお金です。国内旅行のようなお金では、いかに貧乏旅行とはいえ不可能です。ヨーロッパの旅の場合を例にとっても、最低30万円は準備せねばなりません。一ヶ月一万円貯めたとしても2年半必要です。

    二つ目は暇です若者の旅行は飛行機による点と点の旅では残念です。いろいろな国のいろいろな人と直に接する旅であってこそ、私達の将来に役立つ物です。それには時間が必要です。学生の人は比較的自由になりますが、勤めを持ってる人はおいそれと休暇をくれないでしょう。最悪の場合は、今まで勤めていた職場を辞めなければならないかも知れません。ここでプラス面、マイナス面の比較の問題になります。あなたにこの計画を実行する熱意と、この経験をしてマイナス面をうち消すべき自信があれば、たとえあなたの人生に一休みの時期があってもいいのではないでしょうか。

    第三は環境です距離的に遠く離れているのですから、ご両親を始め、あなたの周りの人々の心配は大変なものです。私の場合も出発の前日まで反対されていました。

    .......(以下略)。

     まず費用の所を注目して下さい。ヨーロッパちょっと旅行するのに最低30万くらい、ここは今もあまり変わりません。
    しかしこの頃は、今と比べて貨幣価値が10倍弱、一月一万円はきつかった数字です。

     今は、オフシーズンなら、ヨーロッパ往復6万円台、当時は、日本ーソ連ーウイーン片道 \111,530円
    現地滞在費だけは、今より段違いに安いですけども!

     二つ目の条件のところで、「現地の人と直に接触する旅」と言うフレーズが出てきます。1960年代後半では、真新しい響きがありましたし、ほとんどの旅行者が納得してなおかつ繰り返し頭の中でリフレインしたフレーズです。このフレーズが表立って新聞とか出版される物に印刷され始めるのは、ほぼ10年以上たった70年後半から80年前半にかけてです。

     私達の頭の中にあったのは、この時間とお金を使ったらもう2度目の旅行はない、と言うことでした人によっては二回三回の海外旅行もできましたが、普通の人達にはそんな贅沢想像もできませんでした。この頃の一般的日本人の「レイノルズ数」は非常に低いものでした。
     だからこの辺り、力はいった文章になってるでしょう。

     第三の部分、一口でいえば「水杯」と「地獄飯」極楽飯」の世界です。今は。両親が、子供おじいちゃんおばーちゃんに預けてでも、旅行へ行く時代ですから。

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