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トラベルメイトトラベルメイト98

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「トラベルメイト98」
  1. 【  現実旅行編(14) 】

    〇空港出るまで

     税関が終わると次はもう目的地の空港の中です。個人旅行で何の手配も日本からしてこなかった人は市内への交通機関の切符の購入です。到着時間によって利用交通機関は変わります。夕方までならバスだとか鉄道の公共交通機関が利用できますが、真夜中の到着だとタクシー以外何の足もない空港もあります。パッケージの参加者とか空港の出迎えを頼んだ人はガイドを見つければその日に泊まるホテルまで案内してくれます。

     この部分でよく起きるトラブルがあります。荷物にぶら下げてある名札の名前を読みとってサインボードに書き込んで偽の出迎えを装う手口があるのです。

     中村さんがニューヨークの空港の無事ついたとします、詐欺師トーマス君の出番です。出口で待っていて素早く荷物の名前を読みとり、手に持っているボードにマジックインキで「MR.NAKAMURA/K」と書き込みます。中村さんガイドを捜すのにきょろきょろしていますので、目の前にボードを出して「ARE YOU MR.NAKAMURA?」と一言。獲物は掛かりました。後は、車に押し込んで寂しいところでゆっくりお料理です。

     これを避けるためには、税関を出て直ぐ名札をとっておくか、違う名前の名札にしておくことです。例えば中村から森村等にしておけば、森村さんですかとボードを持った人が来たとしても人違いか詐欺師かどっちかですからいずれもあなたに関係ないガイドです。正しいガイドなら「中村」と言うボードを持ってくるはずですから。

     相手の会社名を先に喋らせるのも賢いチェック方法です。「エーと、エーと、会社の名前忘れちゃったんだけどどちらの会社の人でしたっけ。」忘れてなくともそう聞くのです。もう少し高等テクになると、ガイドブックで覚えておいた違う会社の名前を言ってみると言うのも手です。とにかくこちらから、中村ですが、ABCカンパニーの方ですかと正直に聞くのは最低の方法です。

     日本で頼んでいるはずはないのに出迎えが来たと言うのも危ない兆候です。かってバンコックの空港で何回か有りました。旅行会社の社員さえ引っかかったほどのうまい手口です。基本はニューヨークと一緒、荷物のタッグ(荷札)から利用している旅行会社と、本人の名前をチェックします、この際詐欺師はっきり日本の旅行会社の名前を言わないのがコツです。

     タッグはたぶん今回利用した旅行会社のものでしょうが、可能性としては前回利用した旅行会社のものかもしれません。ちょっとたどたどしい日本語で「日本の会社の依頼でお迎えに来ました」。「えっ、頼んでないのに」と言う答えはもう想定済みです。

     「今回はH社ご利用ですよね」一応かまを掛けます。あたればビンゴ! あたらなかったら、相手の顔色を見ながら、「うちは、日本から沢山の会社の手配を頼まれているから、今回どこでしたっけ、私の方へは日本の会社払いで、空港からホテルへお連れするように頼まれてます、もちろんホテルも1泊ついてます。今回はトラブルでご迷惑を掛けたのか、何回も使ってくれるお客さんへのサービスなのかは、こっちでは解りませんが」

     ホテルがただで、車もついてる、ウマイ話じゃんあの日本の旅行会社の係員もちょっととろくてトラブッタけれども、結局良い奴だったんだ。そういえば思い当たる節もあるし。「今回はM社だよ」なんて答えてしまうと、ようこそヘルハウスへ! 次の日は、命があっただけでも儲けものだった! 早々うまい話は転がってはいません。

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