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トラベルメイトトラベルメイト95

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「トラベルメイト95」
  1. 【 そろそろ出発 】

     ここまで来たら、旅行に出発しても大丈夫なだけ知識が付いたことと思います。まだまだ必要なこととかものの説明が足らないような気もしますが、実際の出発してからの流れがどうなのかバーチャル体験です。

    ○出発前日

     すべて準備は終わっているはずです。後は明日出発するばかり。心配性の人ならば、利用予定航空会社に電話して出発時間と便名を確かめるかもしれません。たまにですが、旅行会社の方で間違えたりしてることもあるので時間がある人は一応確かめておくのはよいことです。航空券とかパスポートが空港渡しの時は、当日空港でもらう物と自分でもって行く物をチェックすること。日本発の航空券は空港渡しだけども、アメリカの乗り継ぎ便の航空券は郵送でもらっていたりすると、ややこしくなります。

     出発直前は何回海外旅行に出かけた人でも頭が硬直してしまいます。大事な物だからと、パスポートを仏壇においたまま空港に行ってしまった人、玄関で出発前の最後の点検での超貴重品袋を下駄箱の上においたまま空港行きのバスに乗った人、
     前の日の寝る前は荷物は回りになんにもないところにそのままなんにも考えなくても、荷物だけを持って出発できるようにして置いてください。少なくとも旅行に必要な物以外置かないスペースを作ってください。

     荷物はもういいですか、海外旅行の第一歩です、初心者の方は初めての、エキスパートの方は最初の海外旅行を思い出しながら12の3で玄関を出ます。ちゃんとかけた海外旅行保険も玄関を出た一歩から有効です。

     もし急に車が玄関につっこんできたら、少なくとも玄関の外で車にぶつかりましょう。それとも這ってでも外に出ますか。

    ○空港までの交通機関

     バス・鉄道色々あります。できたら鉄道の方が確実です。バスを使うときはなるべく余裕を持って家を出てください。車で行くときはこれもかなりの余裕を持っていくことです、特にピークシーズンの混むときなど、途中の高速道路は混んでなかったけれど空港入り口で車が詰まってしまうことがあります、後空港まで500メートルもないのに車が渋滞して動かない、こんな時は非常に困ります。特に1人で運転しているときは車を道ばたに置いて荷物を持って走るわけには行きません。運を天に任せるのです。

     もし家族旅行だった場合は、運転者を1人残して家族全員で運転手のパスポートも持って空港に走るのです。チェックインは出発1時間前まで、これまでに荷物のチェックインと搭乗券をもらっておけば少しは時間が稼げます。航空機の搭乗時間までに最後の1人が車を駐車して、駆けつけてくるのを待つしかありません。

     毎年です。ピークシーズンには空港入り口で渋滞している車の横を、借り物競走よろしく、必死の形相でトランクを引っ張りながら走っている旅行者がたくさんいます。できたらあなたはそんな目に遭わせたくありません。こう言うこともあるので、大きな荷物は前もって空港に送っておくことを薦めます。

     ピークシーズンに限らず、電車の事故、高速道路の渋滞等でちょっと余裕を持って出たはずなのにどうしても集合時間に間に合いそうもないとき、一分でも早く空港に到着するよう頑張ってください。間に合わないかもしれません、が航空機の便も遅れるときは1〜2時間は遅れます。飛行機の便が遅れてくれたら間に合います。ダメ元ですから努力だけはしてみてください。

     この時旅行会社には、遅れるから空港に連絡を取っておいてくれと電話を一本入れておいてください。出発1時間前に空港の集合場所にたどり着けたなら100%とは言いませんがたぶん何とかなると思います。45分前なら本当に微妙です。30分前ならたぶんダメでしょう。15分前なら何とかなる可能性は0%に近くなります。でも集合場所には一応行ってみてください。あきらめて途中でUターンするのが一番よくありません。

    ○空港にて

     数々の難関をくぐり抜けやっと空港にやってきました。ここで安心してはいけません。空港は色々な非合法な商売が本業の人の職場でもあります。人の動きが激しく、お金もほとんどの人が日頃よりたくさん持っている(少なくとも郊外のスーパーに行くより多いお金を持ってるはずです)、カメラとかビデオなどの金目の物を持っている。お宝の宝庫です。ひと仕事して、出国してしまえばほとんど捕まえることは不可能です。
     旅行から帰国してきたときに物を取られるのはまだ少しはましです。出発前に超貴重品いっさいを取られて出発できなくなるよりは。

     旅行日常品を盗まれても、大打撃です。出発前に着の身着のままになるわけですから。手口は単純です、日本で一仕事をした窃盗団の日本最後のお駄賃です。出発前に空港出発ロビーを一回りします。ひょいとだれも見ていない荷物を持っていきます。そのままその荷物を持って自分の乗る航空機のカウンターでチェックインです。鍵がかけてあっても蛇の道は蛇、合い鍵であけるか鍵を壊すかします。1時間後、荷物は本来の持ち主の手を放れて、現在の所有者の目的地へいちもくさんです。

     パッケージに申し込んだ人とか航空券が空港渡しの人は通常2時間前に指定のカウンター前に集合になります。たまにピークシーズンの時は、混み合うため3時間前の集合になることがあります。よく出発案内を読んでください。航空券が前もって手元に渡っている人は、利用予定の航空会社のカウンターに1時間半前位で十分間に合います。

    ○チェックイン

     機内持ち込み以外の手荷物をの重さを量って、目的地への荷札を貼り、荷札の半片をもらいます。同時に航空券を搭乗券に代え、この時座席指定をします。ビジネスクラス以上は前もって座席指定ができる場合が多いのですが、エコノミーのましてディスカウントの航空券は出発当日空港でしか、座席指定はできません。このような一連の手続きをチェックインと言います(チェックインは、ホテルの宿泊手続きの時も使います)。

     カナダ、USA等は、荷物は重さではなく大きさと個数による制限があります。詳しいことは資料編を参考にしてください。チェックインに関しては、機内預けの手荷物のX線の検査があったり、団体の時は自分の荷物が隣のグループの荷物と混じらないようにチェックしたり実際はもっと沢山の作業と注意点がありますが、前編ではこの程度にしておきます。

    ○集合場所とチェックイン場所

     パッケージの集合とか、航空券の空港渡しのため団体カウンター前に集合しますが、同じ場所でチェックインができるときと、集合場所はあくまで集合場所で航空券をもらうだけで、その後荷物を持って実際の航空会社のカウンターへチェックインをしに行くケースとあります。

     どちらになるかは、各航空会社の方針とあなたが持っている航空券の予約が個人予約で入っているか、団体扱いなのかによって違ってきます。あまり簡単な話ではないので、初心者の時は集合場所とチェックイン場所が違うこともあると覚えておいてください。

    ○出国

     チェックインが終わって、搭乗券をもらうとあなたの手元には、前記(A)と(B)の荷物が残ります。これらを持って出国の手続きに向かうわけです。特に航空機に乗るまで、何回も提示を求められるのが、パスポートと搭乗券です。この2つは直ぐ出せるところにいれておいてください。

     無くしてはいけないと、機内預けの荷物(C)に、お金、貴重品パスポートをしまい込んで、航空会社のカウンターに預けてしまう人がいますが、日本で航空会社に預けた荷物は次にお目にかかるのは目的地の到着の空港です。パスポートを(C)の荷物に入れて、航空会社に預けたとしたら、あなたの海外旅行はほんの第一歩の日本の空港への見学だけで終わってしまいます。

     パスポートを本人が持参してないとしたら、荷物は飛行機に積み込みされますが、肝心の本人自身は日本の空港から出国できません(荷物と、所有者の泣き別れは別の大きなトラブルを起こします。所有者が搭乗してない荷物は、爆弾などが仕掛けて有る可能性が多いので大騒ぎになることがあります)。

     日本での手続きは全部済んだ、海外への第一歩出国手続きです。出国審査のカウンターの前に並んで順番を待ちます。混み合っていてまともに順番が来るのを待っていると飛行機の出発時間に間に合わないことがたまにあります。何人かのお客さんが、チェックインをすませて荷物を預けているにもかかわらず、搭乗口に現れないとき航空会社係員は、ハンディ無線を持って探しに来ます(忙しいときには来ないことが多いです)。

     後出発まで45分(旅行中は、持ち時間が1時間を切ったら焦ってください。分単位の時間は非常に経つのが早いのです)、列は遅々として進みません、後38分、ウオーと思ったら、出国手続きの係員に頼んでみてください。出発まで時間がないので列の前に並ばせてくれと。でも多分よほど親切な係員でない限り自分で列の前の人に頼んで見ろと言われると思います。そうならば自分で前の人に頼んでください。じっとなんにもせずに待ってるのは最悪の選択です。

    ○免税売店

     出国手続きを終わると免税売店があります。酒タバコなどが海外に持ち出すことを条件に無税になっています。香港とかアムステルダムはかなりゴッツイお店です。安いからと言って酒やタバコをたくさん買うのもよいですが、これから飛ぶ目的地の国へ無税で持ち込める範囲に収めておいた方が無難です。通常、酒は1本か2本、タバコは1カートンくらいが免税範囲になってることが多いです。まあ、買うとき免税売店の係員に確かめた方がいいでしょう。

     ボールペンとか電卓などの小物も売ってますから、出発前に買い忘れた物を用意することもできます。免税売店でうろうろしていますと、出発30分くらい前になると航空機への搭乗案内が始まります。次はボディチェックがあります。このときは、ナイフとか金属製の武器になりそうな物のチェックです。当然、スイスアーミーナイフはダメですし、ハサミも大きな物はダメです。国によって色々な基準があるので一概には言えませんが、日本の基準ですとナイフっぽい物は小型のペーパーナイフくらいまで、ハサミは小学生低学年様の先の丸い小さな物くらいは大丈夫なような気がします(もし不幸にして、刃物を荷物に入れていたりしたら、いったんここで預けて、預かり証をもらいます。そして目的地についてその空港で、自分の乗ってきた航空会社の係員から預かり証と引き替えに返してもらいます。でもたまに、預けた刃物がいつまで経っても出とこないことがあります。今日は時間がないので後でと言われて結局行方不明と言うこともありますので、刃物類は出発する空港で機内預けの方に入れて置いてください)。

     高感度の写真のフィルムを持ってる人は、できましたらX線の検査機を通さないで係員の手作業での検査をしてもらった方がいいと思います。感度ASA400くらいまでは回数が多くなければ検査機を通しても大丈夫でしょうが、800ー1200くらいの感度の物ですと画質に影響が出ることがあります。

     お金類もボディチェックではコンベアーに全部置くわけで、かなりこれが不安な国もあります。ボディチェック後は一応所持金を数えておいてみた方がいいです。少なかった場合直ぐ最寄りの係員に申告してください。お金が少なくなったよと。現場を離れてからの抗議はくその役にも立ちません。

     この後はちょっとした待合い室があって、ソフトドリンクとか軽食を売っています。電話もここにはありますので、機上する前に友人などと連絡を取ることができます。搭乗時間が来たらアナウンスがありますので指定のゲートの前から搭乗します。空港とか便の都合によっては直接ゲートから搭乗するのでなく、いったんバスに乗って空港の隅っこにある飛行機まで行くこともあります。

     以上が成田空港の出国から搭乗までの流れですが、香港のように出国手続→ボディチェック→免税売店→搭乗の順序になっているところもあります。

     出国の前には税関のカウンターもありますが、高価な物を日本から持ち出すときの申請以外普通の人には用がありません。出国の時も税関があることを覚えておけばいいでしょう(古美術品の持ち出しを防ぐため、出国の時の税関がかなり厳しいチェックをする国もあります。)。

    ○航空機の中

     自分の席に座ったらまずすることは、毛布と枕を確保し、荷物を座席の上の棚に放り込むことです。うろうろしてると毛布もないし荷物を棚に上げることができなくて、座席の前の足下の空間に荷物を置くことになります。だいたいが飛行機の中は冷房が利きすぎて寒いくらいですから、日本を冬出発するとき以外毛布がないと風邪を引いてしまいます。荷物を足下に置くと、のんびり寝ようと思っても足が伸ばせないため長期間のフライトの時など地獄です。

     乗客全部が席に着くとドアが閉まりしばらく経って飛行機は滑走を始めます。ソフトドリンクなどのサービスは飛行機が飛び立って水平飛行に入ってからになります。何事にもタイミングという物がありまして、水平飛行に入ってシートベルト着用のサインが消えると同時に、ジュースだ水だと騒ぎますと乗務員に嫌われます。ソフトドリンクのサービスは水平飛行に入って30分ぐらいして飛行が安定してから始まります。どの航空会社でも無料でくれるのはソフトドリンク類のみです、アルコール類は無料の航空会社もあれば料金を取るところもあります。前もってアルコール類は有料か無料かを聞いておかないと後で不諸不精お金を払う羽目になったりします。イスラム圏の飛行機会社はアルコール類いっさいを乗せてないところもあります。

     食事はソフトドリンクのサービスが終わってから少し経ってからです。今日は何が食べられるかは前の座席の背もたれに置いて有るメニューを読めば解ります(スチュワーデスさんが配ってくれるところもあります)。

     選べるメニューはエコノミーでは、だいたい2つしか有りません。魚か肉か、アメリカの航空会社ですと肉の中で、ビーフかチキンかを選ばせるところもあります。

     最近日本でも増えている菜食主義の人(ベジタリアン)は、最低でも出発5日くらい前に、航空会社あるいは旅行会社へ、食事は肉なしのベジタリアンミールを注文しておかないと、飛行機の中で野菜だけの食事を出せと言っても遅すぎます。だだをこねると作ってくれることもあります。米とパンとサラダに、肉の付け合わせ用のポテト、人参、いんげん豆をさらに盛り合わせればでき上がりです。でも、機内で突然私はベジタリアン宣言をしますと、確実に嫌われ者になります。スチュワデスさんの顔は笑ってますけどもね。

     インド航空は、フィッシュORミート(魚、それとも肉)とは聞いてきません。ベジORノンベジと聞いてきます。
     意味はベジはベジタリアンつまり菜食、ノンベジはノンベジタリアン菜食ではない人つまり肉食、と言うことです。まあ、普通の人は、ノンベジでしょうが。

     なーんにも聞かずどんどん適当に食事を運んで来る航空会社もあります。うちは一種類しか食事を置いてません、と言うことなのか何でもよいから出された物を食べなさいと言う意味なのかは分かりませんが。稀にですが運んでるうちに食事が無くなってなって、最後の方の人はパンにバターと珈琲だけという朝食みたいな食事になることもあります。

     食事が終わったら音楽を聴くか、映画を見るか、ひたすら寝るか、本を読むか、中国の上海辺り行きですとあっと言う間に到着してしまいますので何もできませんが、アメリカ本土とかヨーロッパ行きですとまだ日本で上映していない映画をやってたりしてなかなか遊べます。

     シートは窓際か、通路側か選べるのでしたら通路側をお薦めします。確かに窓側は、朝日と夕日の時間、アルプスの上を飛ぶときとか、ヒマラヤの山並みが見える時などは感動もんですが、トイレに行くときとか、友人の席に遊びに行くときなどいちいち通路側の人に断らないと通れません。面倒ですよ。通路側と窓に挟まれた真ん中の席、ミドルシートと言いますがここは最悪、窓からの景色は見えない、通路へも直ぐ出れない、できたら代えてもらった方がいいです。ただし他に席が空いてればの話になりますが。

     シートベルトはなかなかうっとおしい物ですが、離陸と着陸の時は必ず着用しなければなりません。その時は前方に必ずランプでシートベルト着用のサインがつきます。ランプが消えれば、ベルトをはずしてもかまわないわけですが、食事したり、隣の人と話をしたり、本を読んだりで目を覚ましているときはよいとしても、眠ってるときはできたらベルトは締めておいた方がいいでしょう。突然乱気流に巻き込まれて飛行機が300メートル降下したときなど、熟睡してたりしてると天井に鼻をぶつけて目が覚めたりすることもあります。

     腹もふくれた、回りの状況にも慣れてきた、そうなると異性の視線が気になります。旅行出発前か、帰国後であれば海外旅行に行くぜ、あるいは海外旅行に行ったぜと言う事実だけでも少しは注目してもらえそうな気はします。飛行機の中ではみんな海外へ行く人達ですから、それだけでは誰も注目はしてくれません。お互い旅行者同士も良いけども、もっと良いのは、スチュワーデスさんとお知り合いになることです(女性の方は、スチュワデスさんとお知り合いになってもおもしろくもなんともないですが、スチュワードさんなら良いかもしれません)。

     この件に関しては、経験豊富そうな、月刊誌「DIME」から引用させていただいて参考にしましょう。「地球遊人」養成講座PART2の43ページ、
    「自分と旅行経験がそんなに変わらないのに、機内でスチュワーデスと妙になれなれしくできてしまううらやましい人がいたり......。そう言った人々を見ると谷底に突き落としてやりたい気持ちにさえなってきます。何しろツアー料金は同じなのですから、悔しい気持ちもひとしおです。しかし何故そんなことが起こりえるのでしょうか? 彼らは添乗員に小遣いを握らせたわけでもなく、たまたま青山でお知り合いになったスチュワーデスと同じフライトを選んだ訳でもありません。ただ、あなたよりほんの少しばかり海外旅行のツボを心得て、旅行中いかにして振る舞うかを知っていただけなのです。いかにして振る舞うか。実はこれが、海外旅行でワンランクアップが狙える.............」

     本当はもっと続くのですが、まこれくらいにしておきましょう。
     簡単でしょう、ほんの少しばかり海外旅行のツボを押さえていかに振る舞うかを知ればいいのです。こんな便利なことはありません。
    「では、どうしたらそんなおいしい目にありつけるのか?」文字通りこのように問いかけが出てきます。答えが出ます読み続けましょう。「残念ですが、そう言った高級テクは、もう少し基本を押さえてからお話しすることにいたしましょう。」

     あれ、さっきと話がちょっと違うじゃん、そうかほんの少しばかり読み進めば教えてもらえるんだ。ほんの少し読み進みましょう。

    「また、スチュワーデスのお姉さま方と友達になりたい場合。実は彼女たちは、あなたが座った場所によって、あなたがパックツアー客か否か、しかも激安かそうでないかまで、ほぼ見抜いてしまいます。安いパックツアーのくせに彼女たちと仲良くしようとして真っ向から勝負してもダメです。」

     あれれ、簡単じゃなかったの、難しいみたいじゃない!
    「では、パックの客は、彼女たちと東京で楽しいお食事のお約束を取りつける方法はないのか?そんなことはありません。」

     良かった、方法はちゃんとあるみたいじゃん!

    「でも、彼女たちとお友達になることに成功した歴戦のツワモノたちには、ある共通した行動パターンがあります。でもそれも、ここでは教えられません。もっとも大切な基本を理解してからです。何故なら、基本を押さえる前の付け焼き刃的テクなど、百戦錬磨の彼女たちの前には通じるわけがないからです。」

     なんだ結局、簡単じゃあないわけか、ほんの少しばかりの海外旅行のツボ、と言うことは言い換えれば付け焼き刃的テクで通じる意味じゃないの。

    「では基本中の基本とは何でしょう。それは、ガイドブックの見方から始まって、正しい空港への行き方、エアの席の取り方、機内での過ごし方、現地での粋な過ごし方等々、これらのことが可能な限り、自分自身でできるようになる、と言うことです。」

     ええー!こんな事全部が思うようにできたら、初心者とは言いません。もう上級者です。要するに初心者は、どう頑張っても基本ができてないから、スチュワーデスさんたちとはお友達になれないと言うことなんでしょうか。

     よく解りません、こう言うことなんでしょうか、ほんの少しばかり海外旅行のツボを心得ていれば、万人が認める”振る舞い”ができ、それを見たスチュワデスさんはお友達になってくれる。でも、そのツボを心得るには付け焼き刃的テクでは対応できない、基本をきちんと押さえてからでないとダメ。

     他の例で説明すると、家を建てるときは、ほんの少しばかりのつぼを心得ていればよい家が安くきちんと建ちます。でもそのつぼを心得るには、基本を押さえることが必要で、基本を押さえるには少なくとも3回家を建ててみれば大丈夫です。こう言うことなんでしょう。でも3回も家を建てれるのは、ほんの少数の方のみのように思いますが。

     飛行機の中で、スチュワデスさんと知り合いになる方法は、もううんざりするほど沢山の雑誌が特集をしています。どこの席に座ればお話ができるのかとか、彼女たちはどういうお客が好ましいと思っているかとか、話すきっかけを作るには、うるさい要注意のお客さんをどう呼んでいるか、もういい、もううんざりです(女性の読者の方々すみません、世の中にセーラー服マニアがいるように、世の男性は、スチュワデスフェチが多いとされてます、ですからそのことにつてはもう少し語らせてください)。

     彼女たちに聞けばシンプルな答えが返ってきます。

    質問1・どんなお客さんが好みなの

     客に好みはありません、何故ならお客さんですから。私たちは仕事をしに飛行機に乗っているので、軟派されに乗ってるわけではありません、仕事のじゃまをしない人が大好きです。私たち激務だから疲れてんのよ!ほっといて!

    質問2・どんなお客が嫌いなの
     口の臭い中年のおじさん、何かに付けうるさいおばさん、知ったか振りの青年、一挙一動に目を光らす若い女の子、何かと直ぐ名刺を出したがるいわゆる一流有名企業の社員、特にマスコミ関係のTV局とか出版関係の取材陣、お客より海外旅行に不慣れなとろい添乗員、威張ってるお役人、なんぼでもあります。一番いやなのは誰であれ仕事がスムーズに運ばないお客。

     もしあなたが、海外旅行が初めてで胸ふくらませてスチュワーデスさんに話しかけても、彼女らにとって何十回と飛んでる飛行機の中のお仕事ですから、よほどお互い気分がうまくあう方でない限り彼女らにとってうっとおしいだけです。

     ならば、仕事中には何の色恋沙汰もないのかというとそりゃ当然有ります。何百人も狭いところに乗ってるわけですから、シートNO35のAの彼なかなか若い割には渋いよとか、NO55のBのおじさん素敵だよとかの評価は直ぐ機内を飛び交います。本当にかっこいい人だったり、芸能人だったりするとさりげなく、用事がない者まで見に行ったりします。

     でも覚えておいてください、あくまで選択権は先方にあって、先方はかなり目が肥えていてよほどの人でなければお知り合いにはなれないでしょう。そりゃ仕事ですから、「あのう、すみません」と問えば、「はい、何でしょう」とこだまのように返事は帰ってくるでしょうが、それ以上でもそれ以下でもありません。

     彼女達のお友達になれる対象は、、ビジネスクラスから上のお客さんで、エコノミーのお客さんはまず一山いくらのものですので目立つのが大変です。目立つにはおとなしく座っているよりも少しでも話しかけた方が目立つじゃないかと思うあなた。そりゃ努力しないより、した方が確率は微妙に変わりますが、本当に微妙にね。

     飛行機の中ではできたらスチュワデスさんと、友達になりたい気分を捨て去りませんか、珈琲一杯を頼むのにどう頼んだら覚えてもらえるだろうか、話のきっかけは等と考えれば考えるだけ喉はからから声が裏がえってしまいます。お気楽いい加減が旅行の極意です。

     別に珈琲を頼むだけの関係でいいじゃないですか。誰が、友達にならなければいけないと決めたんでしょう。旅の達人はスチュワーデスさんに沢山のお友達がいるのでしょうか。うっとおしいことやめましょうよ、お友達ができたとしても鬼の首を取った日のように自慢することでもありませんし、声さえ掛けられなかったとしても落ち込むことはありません。全くあなたの好みの問題で、どっちだってよいのです。

     どうですそうおもったとたん気分が軽くなりませんか、かえって何のこだわりもなく用事も、入国カードの記入方法の質問もできますでしょう。

     相手だって大変助かります、珈琲一つ頼むのに無理矢理、軟派光線を頭のてっぺんから絞り出して、顔をひきつらせている期待待ちのお客より、単に珈琲を頼んでくれてありがとうと言ってくれるお客の方が数倍嬉しいでしょう。急がば回れです、無理は禁物です、これであなたはほんの少しだけ海外旅行のつぼを心得たでしょう。

     直行便ならもう目的地に近づいたことと思います。目的国の入国カードと税関の申告書を点検します。飛行機の中で必ず書類の記入は終わっておいてください。空港に着いてから書き込もうなどと思っていてはいけません。飛行機の中程安全で静かに書類が書き込めるところはないからです。空港の到着ビルの入国手続きのカウンターの前でも確かに書類は記入できますが、記入している10分の間に機内で書類の記入が終わっている人が何百人も手続きに並んでしまいます。あなたが書き終わったときには、確実に列の最後尾になっているはずです。

     それだけではありません、記入中足下とか机の横においた荷物が気になりませんか。下手に気を抜いて書類記入をしていると荷物が他の人について行ってしまい入国第一歩でパスポートを盗まれて入国さえできない羽目に陥ることもあります。安全に座って落ちついて書き物ができるところでは、次に必要な書類を用意するのが鉄則です。

     経由便で給油と乗客を乗せるため2時間ほど飛行機が停泊する事もあります、そういう時はだいたい1時間くらいはその空港の免税売店とかレストランでぶらぶらできます。面倒なので機内で寝ていたいと言う人はそれでもかまいません。(国によって航空会社によっては、全員例外なしで空港乗り継ぎ待合い室に行かされる事もありますし、全員が機内にいなければならないこともあります)

     飛行機を一時降りるときに、その国で降りる人も一緒に降りるわけですからそっちのグループの後をついていってしまうと、空港の乗り継ぎ待合い室(トランジットルームと言います)ではなく、本当に入国の手続きのカウンターまで行ってしまうこともあります。

     たまたまその国が、日本人は入国に際しビザが不要な国であったら、訳が分からないんだけども周りの人がパスポートを出しているから自分もとやってると、結局目的地ではなく経由のはずの国で降りてしまうこともあります。訳がわかんなくて何か不安なら、係員に「トランジット」と伝えてください。

     目的地まで直行便のないため、途中の国で乗り換えなければならないことがあります。これは、今までの説明の応用で対応できますので、次に進みます。

     航空機は無事目的地に到着、入国手続きが始まりました。初めてですとかなり緊張しますが、要はパスポートのチェックと、ビザが必要な国ならそれを持ってるか、後この国へ来た目的、滞在予定期間、どこに泊まるのかの質問くらいです。目的は当然観光です、滞在予定期間は厳しく制限されてるくに以外まあ適当に自分の滞在予定の期間に少し色を付けたくらいでいいでしょう。どこに泊まるのか、これもほとんどの国でまあ有名なところを行っておけば大丈夫です。シェラトンとかホリデイインとか。もっと安い旅行なら、YMCAはほとんどの国の大都市にありますからこれでもよいかもしれません(泊まるところが決まって無ければ、前もってその都市で一般的な観光客向けのホテルの名前はガイドブックからピックアップしておいてください。入国の時泊まるところは決まってませんと言うより、ホリデイインに泊まるとすらすら言えた方が入国時のトラブルが少なくてすみます、実際に泊まるかどうかはこの際問題ではありません、言いよどみ無く質問にすらすら答えられるかどうかが一番の問題です)。

     入国手続きが終わると、日本出発の時に預けた荷物が出てくるベルトコンベアーの前で自分の荷物が出てくるのを待ちます。通常ベルトコンベアーは1個ではありませんから、自分の乗った便の番号が出ているコンベアーの前になります。

     日本出発前にナイフ等をボデイチェックの所で預けさせられた人は、引換券を持って自分の乗ってきた航空会社の係員を捜します。引き替えの方法は、各空港によって一定のものはありませんので係員にいちいち聞くしか方法はありません。

     コンベアー(ターンテーブルとも言います)の回りには、荷物を乗せるカートが用意されていますから、ボーッと荷物が出てくるのを待ってるんじゃなくカートをまず確保します。そうこうしてるうちに荷物が出てきます。荷物が全部出てきたらカートにのっけて税関の手続きに向かいます。

     この時回りには最大限の注意を払ってください。貴重品を入れたバッグ(A)と(B)は、肌身話さず自分の視線が届く範囲においておくのが鉄則です。カートの上において、コンベアーの上から預けたバックをひきずり降ろしている間に、今あった貴重品を入れた荷物が、振り向くと無くなっているというのはよくある話です。

     税関は、持ち込みの無税の酒とかタバコ、カメラなどの高価なものの持ち込みの検査とか麻薬のチェックをするところです。北米の、カナダとかUSA、西ヨーロッパ等は、税関の検査はよほど麻薬の持ち込みなどを疑われない限り申告書を提出するだけで終わります。そのほかの地域は例えば東アフリカはそんなにチェックがきつくないですが、西と中央アフリカはかなり厳しい検査があったりします。中近東、西アジアも厳しい方に入ります。

     一般的に西側諸国と言われる所は入国の時の税関検査は緩やかです(USAにわざわざソニーの8ミリビデオカメラを売るため持ち込む人はいませんでしょう)。旧東側諸国、中近東、西アジア等は厳しいようです。こういう情報は、大使館とか観光局に聞いてもあまり的確な答えは期待できませんから、実際に旅行した人を捜して聞くしかありません。

     税関が終わると次はもう目的地の空港の中です。個人旅行で何の手配も日本からしてこなかった人は市内への交通機関の切符の購入です。到着時間によって利用交通機関は変わります。夕方までならバスだとか鉄道の公共交通機関が利用できますが、真夜中の到着だとタクシー以外何の足もない空港もあります。パッケージの参加者とか空港の出迎えを頼んだ人はガイドを見つければその日に泊まるホテルまで案内してくれます。

     この部分でよく起きるトラブルがあります。荷物にぶら下げてある名札の名前を読みとってサインボードに書き込んで偽の出迎えを装う手口があるのです。中村さんがニューヨークの空港の無事ついたとします、詐欺師トーマス君の出番です。出口で待っていて素早く荷物の名前を読みとり、手に持っているボードにマジックインキで「MR.NAKAMURA/K」と書き込みます。中村さんガイドを捜すのにきょろきょろしていますので、目の前にボードを出して「ARE YOU MR.NAKAMURA?」と一言。獲物は掛かりました。後は、車に押し込んで寂しいところでゆっくりお料理です。これを避けるためには、税関を出て直ぐ名札を取っておくか、違う名前の名札にしておくことです。例えば中村から森村等にしておけば、森村さんですかとボードを持った人が来たとしても人違いか詐欺師かどっちかですからいずれもあなたに関係ないガイドです。正しいガイドなら「中村」と言うボードを持ってくるはずですから。

     相手の会社名を先に喋らせるのも賢いチェック方法です。「エーと、エーと、会社の名前忘れちゃったんだけどどちらの会社の人でしたっけ。」忘れてなくともそう聞くのです。もう少し高等テクになると、ガイドブックで覚えておいた違う会社の名前を言ってみると言うのも手です。とにかくこちらから、中村ですが、ABCカンパニーの方ですかと正直に聞くのは最低の方法です。

     日本で頼んでいるはずはないのに出迎えが来たと言うのも危ない兆候です。かってバンコックの空港で何回か有りました。旅行会社の社員さえ引っかかったほどのうまい手口です。基本はニューヨークと一緒、荷物のタッグ(荷札)から利用している旅行会社と、本人の名前をチェックします、この際はっきり日本の旅行会社の名前を言わないのがコツです。タッグはたぶん今回利用した旅行会社のものでしょうが、可能性としては前回利用した旅行会社のものかもしれません。

     ちょっとたどたどしい日本語で「日本の会社の依頼でお迎えに来ました」。「えっ、頼んでないのに」と言う答えはもう想定済みです。

     「今回はH社ご利用ですよね」一応かまを掛けます。あたればビンゴ! あたらなかったら、相手の顔色を見ながら、「うちは、日本から沢山の会社の手配を頼まれているから、今回どこでしたっけ、私の方へは日本の会社払いで、空港からホテルへお連れするように頼まれてます、もちろんホテルも1泊ついてます。今回はトラブルでご迷惑を掛けたのか、何回も使ってくれるお客さんへのサービスなのかは、こっちでは解りませんが」
     ホテルがただで、車もついてる、ウマイ話じゃんあの日本の旅行会社の係員もちょっととろくてトラブッタけれども、結局良い奴だったんだ。そういえば思い当たる節もあるし。「今回はM社だよ」なんて答えてしまうと、ようこそヘルハウスへ! 次の日は、命があっただけでも儲けものだった!

     早々うまい話は転がってはいません。

     色々ありましたがやっと、海外旅行第1日目のホテルへチェックインできました。後は後編で説明しましょう。またお会いしましょう。

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