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16. 【　初心者のための旅行の話　】
    
    　海外旅行を理解するには、海外旅行を構成するそれぞれの部品の話をしないといけません。これは初心者が理解するための基礎講座の１です。
    　旅行は、まず前もって必要と思われる物を全部セットしたパッケージと呼ばれる物と、いろいろの部品を必要に応じてチョイスする手配旅行とあります。結局最終的にはどちらも値段の高低はあっても利用するものは一緒です。交通機関があって、宿泊設備があって、食事があって、買い物があって、観光があるわけです。別の言い方をすると、パッケージ旅行はすべての必要な物の前払いで、手配旅行はその都度払うキャシュ清算だと思えばいいです。ここの所をよく覚えておいてください。一見すると、出発までに払うお金が少なくてすむ手配旅行が安くて、前もって払うパッケージがかなり高く見えてしまいます。
    
    　ほとんどの若者向け（と言っても４０歳くらいまでの対象ですが）のガイドブックには、何かと高くつく自由の利かないパッケージ旅行に対し、安くて、あるいはもうちょっとひねった形で、工夫すれば安く行ける自由な手配旅行と紹介してあるケースが非常に多いのですが、トータルで見ると同じようなホテルに泊まり、同じような物を食べ、同じようなコースをたどったとしたら、パッケージも手配旅行も必要な経費はあまり変わりません。
    
    　むしろホテルなどパッケージの時は、年間の契約での割引をもとに料金が計算されていたりします。自由旅行というのは、自分の手間暇をかけると言うことですから料金はかかってないようですが、見えないコストは確実にかかっています。むしろ手配旅行の方がパッケージより高かったことだってあり得ます。ですから、高くて不自由なパッケージより、絶対安くて自由な手配旅行がおすすめなんて思わないでください、特に初心者のあなたは。
    
    　初心者は知識と体験が不足しています。知識と体験が不足していたら自由には旅行できません、自由に旅行できないのに、必要になるごとに旅行の部品を買い込んでいたら途中で立ち往生するのは目に見えて解っています。立ち往生というのはトラブルと言うことですから処理するのには経費がかかります。決して安くはすまなくなってきます。
    
    　旅行を選ぶときに、高くて不自由なパッケージ旅行、安くて自由な手配旅行などと言う基準では選ばないでください。両者とも必要な費用はいっしょです。そうですね、うまい言い替えをすれば、パッケージは建て売り住宅、手配旅行は注文住宅としてもよいでしょう。
    
    　ちゃんと住めるようになるまでには建て売りの方が早いしトータルで払う料金は安くなります。注文住宅は、自分の要求が通る確率が多くなりますが、経費はたくさんかかるし、へたすると予算をかけた割にはとんでもない物ができあがってくることもあります。唯一注文住宅が安く自由にできる可能性があるのは、建築の知識とその業界にコネがある人です。
    
    　例えば、建築事務所の人、あるいは近い親戚が建築屋であるとか。これは旅行の業界と全く一緒です。コネも体験もない旅行の初心者の人は、こう考えるのが一番です。
    　手軽で、予算もまあまあで自由がそんなに利かないパッケージ旅行と、面倒で、お金も掛かり暇も掛かりへたすると不自由だらけの手配旅行といったことにもなりかねません。

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