[vol.24]
8月19日(木)東京〜焼津

東京での用事を済ませて、いよいよこの旅も終盤にはいってきた。7月27日に沖縄をたってから3週間が過ぎた。日本を縦断し宗谷岬を折り返しいつのまにかここまできた。いろいろなことがあったけれどもどれもずいぶん昔のような気もする。それだけこのヒッチハイクの旅が変化に富みつらく楽しいものだということだろう。

お世話になった多くの人に、息子にはいい経験になるといわれたが当の本人はひょうひょうとして別にどうということはないという風で何か力がはいらないのだが。自分も存分に楽しんでいるからまあいいか。

東名高速の入口瀬田に向けて10時過ぎ西荻窪の実家をでて吉祥寺駅に行った。昔は荻窪から環状8号線でヒッチをはじめて瀬田までよくいったものだが、現在は車が多すぎてしんどすぎる。吉祥寺から井の頭線で下北沢までいった。井の頭線はとても懐かしい。高校の3年間これにのって学校に通った。始発電車に座り、明大前までの30分は英語の勉強部屋だった。

千歳船橋にでてバスで瀬田まで移動。やはり暑い。バス停からインターまで歩くだけで汗だくになってしまった。マクドナルドで一服。ヒッチをはじめる。以前ここからはいろいろなところに行った。何度もヒッチした場所なのでやはり懐かしい。勝手は昔のままなのだが指を立てても何の反応もなく1時間半が過ぎてしまった。こんなはずはないとおもいながら疲労ばかりが増す。もしかしたら今日は東京を抜け出せないかもしれない。

こんなときのマクドナルドはありがたい。暑い紅茶を飲み2時間ほど休んだ。もう一度やってダメなら電車で箱根あたりまでいこうと決めヒッチ再開。真昼も過ぎしのぎやすくなってきたのでだいぶ楽になった。でも相変わらず反応がない。もう限界かと思っていたところBMWがとまってくれた。ついにやった。延べ4時間。今度の旅のヒッチ最長記録だ。

静岡までいくというので日本平のパーキングエリアまでお願いした。好青年。ジェットコースターの話題に花がさいた。日本ではよみうりランドのバウンデッドが最高かもしれないと意見が一致。途中、事故渋滞などもあったが6時に到着。

日本平は2週間まえ静岡のタミヤ模型から東京に行くときに散々なめにあったところだ。その時は炎天下いくつもの丘を越え3時間も歩いてやっとエリアの脇まで行ったのに、結局、高い塀にはばまれ外からエリアに進入できずガックリ。疲労で失神寸前になってしまった。今度内側から見ると景色で売る日本平のことだけはある。静岡の街が美しい。やれやれここは地獄か天国か?

エリアの出口でヒッチ再開。暗くなってきた。この時間帯は目がまだ夜になれていないのでやりずらい。風太のシャツを白に変えさせ、目立つようにした。ほどなく中年のご夫婦がとまってくれた。となりの焼津までいくというので日本坂パーキングまでのせてもらうことにした。しばらく話していると家に泊ればと誘ってくれた。海野さんだった。

すこし当惑していると、風太は早速、子供はいますかなどと聞き始めた。一緒にゲームをやりたくてしかたないらしい。それにしても厚かましい奴だ。自分に似たともおもえないのだが。そんなことを思いながら、今日ヒッチに時間がかかったのはここで海野さんにお会いするためだったのかと勝手な理屈をつけてお世話になることにした。やはり図々しさは自分も同じようなものか?

海野さんもメールアカウントをもっているというので早速教えてもらった。ついでに娘さんのアカウントまで書いてくれた。挨拶に来てくれた娘さんはとても素敵な女性だった。これで旅日記を送れる人がまた増えた。インターネットの力はやはりすごい。

夜、風呂につれていってもらった。パチンコ屋さんの上にある最新型の風呂で泡風呂や電気風呂などはもちろんのこと、サウナや露天風呂まである。それで料金は400円。信じられない安さ。こんな大きな風呂にはいるのは3年ぶりくらいだ。沖縄にもこんな安く、設備のいい風呂があれば毎日でも行きたいほどだ。

明朝、ゴルフにいくついでに牧が原のサービスエリアまで同乗させてくれることになった。つくずくヒッチハイクは不思議なものだと思う。

Copyright(C)1999 小島春彦