[vol.20]
8月15日(日)倶知安〜二股温泉〜函館〜青森

倶知安はとても北海道らしい町だ。例によって碁盤の目の道路で整備され、あまり大きな店はなく飲み屋街はひとつの路地にまとまっている。夜は街灯で全体がほどよく明るく暗闇はない。それほど活気があるわけではないがそこそこ安定した生活の落ち着きを感じる。

バス停のくぼみを利用してヒッチをはじめる。20分ほどで函館までいくバンがとまってくれた。結局これが北海道で最後のヒッチになった。すぐに蝦夷富士として知られる羊蹄山が姿をみせた。山頂には雲がかかっていたが、りっぱな山だ。国立公園になるだけのことはある。

倶知安から函館への5号線は片側1車線の道で路肩は狭い。まっすぐの所はあまりなく、本州の山間部の国道と雰囲気は同じだ。一級国道として初期に開かれた道路なのでまだ北海道らしいコンセプトが十分できあがっていなかったのかもしれない。現在、札幌と函館間はあまりこの国道を利用しなくなっている。道沿いに走る函館本線も各駅停車の直通列車は廃止され、電化されていない区間もある。

折角だからといって、長万部の手前で国道を10Kほどはずれ二股ラジウム温泉に寄り道してくれた。手持ちの地図にもでていないのでたいした期待もしていなっかったが予想に反してとてもすばらしい温泉だった。

10m以上はあるだろうか。硫黄のドームがそびえ、その横に露天風呂とドーム型のつくりの温泉がある。湯船自体は硫黄をくり貫いて造ってあり、タイルや板などはつかっていない。湯治場として泊れるようになっているが規模はあまり大きくなくまさに秘湯そのものだった。学術的にもめずらしいそうだ。

いくつか名所を過ぎたが、もう十分北海道を堪能していたのでそれほどの感激は起こらなくなっていた。函館に着いても有名な朝市マーケットでハラミの定食をたべたくらいですぐにフェリー乗り場に来てしまった。函館に一泊するつもりだったがとどまる気分がしなかった。フェリーは盆明けで混んでいたが車ではないのですぐ乗れた。今夜遅くには青森に着く。さらば北海道。

Copyright(C)1999 小島春彦