[vol.14]
8月09日(月)登別温泉〜苫小牧〜札幌
朝風呂に入り、ランドリーで洗濯。乾燥機で上がり。ユースのこのへんの設備は旅人向けで便利だ。チェックアウトまでの時間を利用してメールを書く。出発する前にまたホテルにいって送信するが次に出せるのはどこになるやら。
地獄谷を見学後、登別温泉をバスで出発。38号線の通る登別駅まで約6K。快晴。さすが国立公園だけあって美しい風景が続く。木や草の色がみずみずしくかがやいている。道は広く整備されゆったりした曲線は気持ちをなごましてくれる。これだったらバスではなく歩くのもよかったかもしれない。ただ体力を温存しなければならない今は無理だが。
15分ほどで国道に出た。登別の町は名前が知られている割には小さく特徴もない。毛がにでも売っているかと思ってスーパーに行ってみたが申し訳程度においてあるだけだった。それも高い。地元の人もあんまり食べないのかもしれない。そのかわりトバがたくさんあった。トバはこのあたりの名産でサケの身を細く薫製にしたものでなかなか美味しい。風太ははじめてだといって数片を一気にたいらげた。
靴下を買った。ヒッチハイクは車の止まりやすい場所で待っていないとならないので道路のくぼんでいるところまで歩かねばならない。荷物を担いでいるので足に負担がかかる。左足にマメができてつぶれた。靴下をはいて多少らくになる。
小犬を2匹のせたバンに苫小牧の手前まで送ってもらった。海岸に沿ってまっすぐに伸びた広い風景と道はここが日本であることを忘れさせる。とても美しい。冬の光景は予想もつかないがきっと厳しいながらも美しいような気がする。快晴で直射日光はきついが、湿度がなく汗をかかない。いつのまにかTシャツが乾いている。これまでどこでも大汗をかいていたのと全然ちがう。気持ちいい。
次の車で千歳の手前までのせてもらった。降りたところがトラックターミナルになっていてコンビニもある。氷とお茶をかった。裏はひろい芝生になっていて木陰に横になった。さわやかな微風が最高だ。どこにいるよりもリラックスしていて動く気になれない。どんなにお金を出したってこんな空間は手に入らないだろう。風太はコンビニの裏に電源を見つけパソコンでゲームをはじめてしまった。
2時間ほど過ごした。日も西に傾いてきた。去りがたかったが、札幌に向けヒッチ再開。あと50K。千歳の飛行場はなかなかりっぱだ。さすがに北海道の玄関。千歳駅まで行き、街を見学しながら国道にもどる。街はこれまでのどこよりも大きく、人も多い。北海道ではじめて都会にきた。住み易そうな街だ。
恵庭に住む22歳の青年にわざわざ札幌まで送ってもらった。30K。札幌に入ると渋滞がはじまった。大都市はどこも同じだ。郊外にはあまり大きな建物はないが住宅がつずく。やがて札幌のシンボルテレビ塔が姿をみせる。何年ぶりだろうか。少年のころ親戚の人に連れられてのぼった記憶がある。
ススキノのラーメン横丁で降ろしてもらった。早速はいっていくと狭い路地にラーメンやばかりが軒を連ねている。人が並んでいる店もあれば全然は客のいない店もある。しかしすごい熱気にあてられる。やっとはいった店でワンタンメンを食べたが期待はずれだった。凝りすぎてこくの強いスープは食べなれていないせいか合わない。
札幌の街を散策。表面は飾り立てているがやさしくない。階段が多くエスカレーターもない。いきどまりが多くうんざりする。ラーメンも街も性に合わない。このまますぐにでも出ようとも思ったが風太が疲労しているので結局、札幌駅近くのユースホステルに電話を入れた。規模は大きいが混雑していてあまりリラックスできない。でも寝てしまえばどこも同じか。
Copyright(C)1999 小島春彦
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