[vol.12]
8月07日(土) 松本〜白馬〜糸魚川〜直江津

松本から19号線を大町方面の分岐点まで歩く。道がせまくヒッチするところがない。やっとスペースのあるところまできた。大町に行きたかったが、車が少なくやはり長野をめざすことにした。ところがラッキーなことに大町までいく車がとまってくれた。オリンピックであたらしい道路が別にできたらしい。長野方面よりもこちらのほうが景色はだんぜんいい。今日はなかなか調子いい。

大町への道は北アルプスに沿って走る。昔、春にここを通ったとき山肌にのこる残雪が動物などいろいろの形をしていておもしろかった。運転手によれば農家はその形の具合をみて農作業をはじめるらしい。それと忘れられないことがある。その時たまたまカーステレオからジョン・デンバーのカントリーロードが流れていた。快調に走る車と美しい景色によくマッチしてなんともいえない開放感を味わった。それ以来カントリーミュージックのファンになった。

今回はカントリーミュージックはなかったが美しい景色は変わらなかった。大町で乗り換え白馬へ向かった。途中オリンピックのジャンプ台に連れていってもらった。このあたりの景色もすばらしい。

白馬はさすが観光地。かわいいペンションやみやげ物屋さんがならんでいる。見上げるとアルプスの連山には根雪が残り、パラセールがいくつも浮遊している。チロル風のペンションを背景にみるとインスブルックにいるみたいだ。高度が高いせいか直射日光がつよくて暑い。でも湿度が低いせいか日陰は気持ちいい。

昼過ぎまでのんびりしてから、糸魚川めざしてヒッチ再開。場所のいいところを求めてしばらく歩いたが暑くてへばる。白馬観光の車が多くうまくいかない。体力も限界にちかく、電車で行くことに変更。ちかくに森山という無人駅があり、しばらくすると電車がきた。しかし途中の小谷で終点なり、乗り継ぎに1時間半ほど待つことになった。駅を出てヒッチしようかとも思ったが、車が少なくやめた。

やっとやってきた電車は一両編成(?)のワンマンカーで糸魚川とここを往復しているらしい。料金ボードなどもあり仕組みはバスと同じだ。白馬の連山から日本海まで40Kしかないので、このあたりは傾斜がきつく、道路も最近よくなったばかりらしい。これもオリンピック効果というのだろう。

しかし景色はなかなかのもので、渓流に沿った軌道が美しい。山岳電車のせいかお客はトレッカーがほとんどだ。姫川を過ぎ急に視界がひらけたらそこが糸魚川だった。糸魚川は夕日の日本海が有名なところなので、食料を調達して海岸まで歩いた。海岸沿には8号線があり見物しながら新潟めざしてヒッチする。

沖縄の海を見慣れているせいか、夕日の日本海もさほど感動しなかった。しかしふだん山に住んでいる人には水平線がひろがる海だけでも感激ものなのかもしれない。それに夕日が加わればそれだけで十分観光地になってしまうのだろう。

ヒッチした場所は窪みも広く停まりやすそうにみえたが、スピードがでていてうまくいかない。1時間ほどやってみたが結局あきやめて駅までもどった。街はさびれて店も半分以上はしまっている。これからどうするか。こうゆう時はあわてずゆっくり休むのがベスト。

冷房の効いた駅の待合室で何も考えずに休む。なにげなく広告などをみていると、直江津行きの電車のアナウンスをしているのが聞こえた。そういえば直江津から北海道にいくフェリーがあるはずだと思い出した。ヒッチの途中でだれかが運賃が安いといっていた。時刻表をしらべると23時55分の室蘭行きがあった。やった。

フェリーならゆっくり休めるし、日程の遅れもとりもどせる。早速、直江津いきのキップをかって電車をまった。9時過ぎに直江津に到着。地図でみるとフェリー乗り場は近そうにみえたがそれば佐渡行きの乗り場だった。北海道行きの乗り場はさらに3Kほど歩かねばならなかった。日本海沿いのこのあたりは気温が高いことで有名だが、それにたがわず夜でも暑く大汗をかいた。

やっと乗り場にたどりつき、チケットを購入しようとしたらシーズンで満席。キャンセル待ち38番。果たして乗れるのか? 23時過ぎ12番までのキャンセル待ちはOKとのアナウンス。ダメかとあきらめかけていると、しばらくして20番までOKといっている。つずいて30番まで。

その後アナウンスがなく23時30分になった。やっと38番までとありがたいアナウンス。これで乗れる。2人で9500円は安い。沖縄の場合、鹿児島から一人で12000円はした記憶がある。それにしても39番以降の人は乗れたのだろうか。他人のことながら気にかかる。

フェリーは全長200mの最新式で沖縄航路よりも数段いい。風呂もあったが疲れていて明日にして寝た。風太はゲーセンに行ったきり帰ってこない。

Copyright(C)1999 小島春彦