インド・カルカッタ (28)
「俺らそんなに褒められたもんではないぜ、旅行で回る先は観光地だし、何にもない田舎はまず行かないしな、俺あちこちで柔道教えていたから普通観光客が行かない街とか路線通ったことあるし、沢山の人と知り合ったけどそれがどうしたってことよ。」
「日本から持ってでた金では足らないから、金稼がなきゃやっていけないわな、働く場所は普通、観光地ではないわな、結果、観光地でないただの田舎町とか人口が多いだけの工業地帯とか、郊外の住宅街そんなもんよ、そんなところで稼いだ金が貯まると、旅行は観光地へ行くことになるよ。働く場所は普通の所、稼いだ後の旅行先は観光地と言うことだ。」
「何で、普通の人と話し合いたがるの、働いたら嫌でも知り合うわな、観光地行かないで、普通の人と話すのがいいなら出稼ぎが一番良い旅行と言うことか、笑っちゃうよな、現地の人と知り合って話し合う旅行が個性的で最高だと言い張る若いの多いけど、そいつら現地の言葉解るんか、最低英語でも流ちょうに喋れるのか、田森さんあんたどう?」
「流ちょうなのは日本語だけです。」
思いがけない反論でした、解ってくれてうなずいてくれると考えていたのですが。
「なっ、そうだろ、俺だってヨーロッパ長くたってせいぜい1,2年よ、現地の人と分かり合う言葉の水準無いよ、それをせいぜい数週間とか数ヶ月の旅行者がどうすりゃいいの。」
「いや、でも、観光地ばかり団体で回るより個人で安く、現地の人とふれあって旅行する方がいいじゃないですか。その方が外国も良く理解できるし、日本も外から見ればそれなりに解るじゃないですか。」
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