vol.106 ラオス (28)
朝はドアをノックする音で目が覚めました。
「ASA,GOHAN、」
寝過ごしてしまったようです。まかないのおばさんが起こしに来てくれたようです。昨日は、高級洋酒飲んで、たっぷりのお湯の湯船に浸かって、トッケーの鳴き声を聞いて盛りだくさんの夜でした。中村も寝坊したようで眠そうなめこすりながら隣の部屋から出てきました。
朝御飯は、洋食でした。目玉焼きにベーコンついてトースト、コーヒー。レストランで食べるのよりボリュウムはあります。ゆっくり食べさせてもらいました。
関崎さんも永井さんも食事が済んだらしく食堂は私たちだけでした。
「ナガイサン、セキザキサン、シゴト?」
コックに聞きました。
「ニチヨウ、ニチヨウ。」
答えが直ぐ返ってきました。 旅行中はすぐ曜日の感覚がなくなってしまいます。そうか今日は日曜日だったんだ。 と言うこととは、食料車と一緒にビエンチャンへ二人とも行ってしまったんでしょうか?食料車は確か今日ビエンチャンへ帰るはずだから、いやそれとも昨日折り返しですぐ帰ってしまったんだっけ。
食堂の窓から外を見るかぎりでは、車の姿が見えません。ま、どっちでもいいこと です。
私「次の車の便は、火曜日だったっけ?」
中村「そうですね、確か、火曜日と金曜日の週二便だったように思います。」
私「昨日トッケー、蚊帳の上へぼとっと落ちてこなかったか?」
中村「イヤー、夜うなされましたよ。いつもはもっと寝付きいいんですけどね。」
私、昨日彼が自分の部屋へ帰るとき、広場を突っ切らないで、石畳の道沿いに大回りしたのをしっかり見てました。広場はおおむね芝が生えてましたが、切りそろえてあるわけではなく、場所によっては、すねが埋まるくらいに生えてる所もあったのです。
蛇の話でさんざん脅された後には、ちょっとした草原でもトッケーが数匹は必ず潜んでいる暗黒大陸に思えます。
私は田舎出身ですから、青大将クラスには慣れています。ですがトッケーは未知の爬虫類です。あの鳴き声からするとかなり派手派手の皮膚をお持ちの蛇さんの様です。夜中に消防車のホースのような大きさの柔らかいのを踏みたくありま
せん。
石畳は一応要所要所に、薄暗い街灯がついてるおかげで50mくらいは先が見渡せました。中村くんが小走りに歩いていった後を、わざとゆっくり肩を怒らせて歩きました。
夜は、もちろん私も寝付きはよくありませんでした。
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