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【 片山くんが行く(14) 】
朝いつものように公園の芝生の上で目が覚めました。河本も目を覚まして、公園を散歩する人達を見てボーとしています。
私「どうする、昨日の話」
河本「おれは、YHへ、一日でも泊まった方がいいと思う」
私「金惜しいけどしょうがないよな、体も洗いたいしな」
河本「そうするか」
たぶん、二人いたから的確な判断が出来たのではないかと今になって思います。一人なら金が減る方が恐ろしくてたぶんまだ野宿でがんばったと思います。午前中はYHへ行ってもベッドはまだ空いてません。今日は午前中はなにもせず町をぶらぶらすることにしました。
旅行者には午前中は魔の時間です。ホテルにチェックインしようと思うとまだ前の宿泊客の使ったベッドとか部屋の掃除が終わっていません。通勤時間の前のラッシュアワーと朝食でにぎわうコーヒーショップ、それが終わると町のざわめきが一瞬途切れます。観光名所を回るにはちょっと早すぎますし、今まで職探しでしかコペンを歩いたことがないので急に観光と言っても困ってしまいます。町中のバス停のベンチに腰掛け、コーラを飲んでお昼時を待つしか有りません。
河本とも今日はあまり話すことがありません。彼も一緒らしくベンチで時間をつぶしている間ずーと無口でした。私は、日本をでてから今日までのことを思い出していました。ここ数日間色々なことがありました。げっぷのようにそれが胃からあがってきては喉元にたまります。私はもう一度飲み込むことにしました。ちょうど牛が食事の後に反芻を繰り返すようなもので、コーラはそのとき最適な飲み物でした。河本も同じことをしていました。
お昼に近くなってきました。町はまた活気を取り戻しつつあります。私たちも少し元気になりました。定食の牛乳と食パンを食終えて、YHへ向かうことにしました。
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