[vol.26]
8月21日(土)広島〜宮島〜広島
朝起きると子供たちはもうゲームをはじめていた。いったいゲームの魅力とは何なのだろうか?
ゲームをやらない自分にはよく理解できない。彼らが大きくなった頃にやがて飽きるということはあるのだろうか。マンガ世代が大人になってもマンガを読んでいるように卒業することはないのかもしれない。
昼過ぎ、磯辺さんが魚釣りにさそってくれた。釣り好きというより釣りきちがいと自他ともに認める磯辺さんは宮島のマリーナにボートをもっていてしじゅう海にでているらしい。宮島まで車で1時間あまり。途中で釣り具屋さんによりエサなどを調達。意外と安い釣り具もあるので沖縄に帰ったら釣竿をかってみようかと思った。
宮島駅の近くで名物のあなご丼をごちそうになった。有名な店らしく行列ができていた。1時間ほどまってやっと席に通された。あなごは関東とは違いタレなどついていない。甘いタレに慣れているので少し物足りない感じもしたが結構おいしかった。とりわけキモをつかったつまみはいい。精力もつきそうだ。
一時激しい雨がふっていたがマリーナに着く頃には上がっていた。船はゆっくりと瀬戸内海にでてスピードをあげた。目の前には宮島がみえる。風が気持ちいい。やがて厳島神社に接近。有名な赤い鳥居をくぐった。最初はそんなことして怒られないかと心配したが本来鳥居は参拝のときくぐるためにあるのだから当たり前のことなのだ。
釣りは竿は使わず重りだけをつかった簡単な仕掛けだったが、キスがよく釣れた。しじゅうやっている人からすればあまり豊漁とはいえないらしいけれども、夜ごはんにフライにするのには十分な漁になった。小船にのり海で、しかも自分のおかずを釣るのは始めての経験だ。1回では釣りのおもしろさを云々する資格はないが、天気もよく釣り糸をたれているだけでとてもたのしかった。子供たちは海に飛び込み気持ちよさそうに泳いでいた。
宮島は大きな島だ。山も高い。厳島神社というだけあって厳しい断崖が続き、平地は神社のあるところを除けばほとんどない。船からみるとよくわかる。まわりには小さいが似たような島がたくさんあり、海は360度山にかこまれている。もし遠い外国からここをはじめて訪れた旅人ならば湖にしか見えないに違いない。
山陽自動車道を来たときやたらトンネルが多いのに驚いた。中国山脈の中をはしる中国自動車道ならトンネルが多くても当然なのかもしれないけれど、海沿いをいく山陽道では意外だった。平坦な北海道の海岸線とは全く違う。海岸にトンネルが多いということは山が海ちかくまで発達しているということで、それが瀬戸内海の独特の風景をつくっているような気がする。山陽という言葉もたぶん東側の斜面というニュアンスを含んでいるのではないかと勝手に納得。
揚げたてのキスのフライは淡白ながら甘みがありとろけるようでおいしかった。
Copyright(C)1999 小島春彦
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