[vol.10]
8月05日(木)東京〜諏訪

いよいよ東京から北海道めざして出発する日がきた。だが連日の暑さと疲れで昼まで起きられなかった。どのルートをとるにせよ東京を抜けるのがたいへんだ。道は複雑で車もどこに行くのかわからない。ヒッチはとてもやっかいなところだ。とりあえずもっとも近い調布の中央高速のインターから諏訪をめざすことにした。諏訪には片倉館という温泉がある。明日の朝は温泉だ。

調布のインターは、ヒッチをはじめた25年ほどまえよくによく利用した場所だ。しかし最近では首都高速とつながったり、車の量が増えてなかなかの難所になってしまった。アプローチのカーブがきつく停めにくい。炎天下30分ほどヒッチしてみたがほとんど反応がない。あきらめて府中のインターに移動することにした。電車とバスを乗り継ぎ近くまでいき、あとは歩き。暑くてフラフラする。

府中のインターはアプローチが直線でヒッチしやすい。入り口そばにはホテルがあるが、3年くらいまえ自動車関係の会社の社長3人が経営にいきずまって首吊り自殺したところだ。簡単に冥福を祈り、ヒッチ再開。八王子に行くトラックに乗せてもらい、手前の石川パーキングエリアで降ろしてもらう。疲労でベンチに横になり休む。夕方まで動けそうもなく、風太はソバ屋のスタンドで電源をみつけてゲームを始めてしまった。

夜になってからヒッチをはじめる。何台かとまったが近くまでしかいかない。しかたなく次のサービスエリアの談合坂まで移動した。談合坂はなかなか落ち着いていてゆったりヒッチできる。夜なので気持ちいい。京都まで行く乗用車がとまってくれた。これで諏訪まで一発だ。風太は調子にのってよくしゃべる。いい車ですねなどとお世辞までいっている。だんだんヒッチのペースが身についてきたのか?

10時諏訪についた。インター近くの路上に降ろしてもらいフェンスを越えて外に出た。20号線をヒッチして上諏訪までいこうとしたがうまくいかず結局3時間かけて6Kほど歩いた。とても大変だったが標高が高く空気がさらっとしていたのと夜で日射がなかったのでなんとか歩るくことができた。諏訪湖の公園で寝た。湖畔の明かりがきれいだ。顔をなでるかすかな風が気持ちよかった。

Copyright(C)1999 小島春彦