[vol.02]
7月28日(火)下関〜岩国〜広島

下関から広島めざして出発。1時間かかってトレーラをヒッチ。岩国まで160kmを一気に移動。風太はトレーラ初体験。後部ベットで一眠り。

岩国で錦帯橋を見学。広島まで40km。北海道阿寒から旅のセールスにきている営業マンにのせてもらう。北海道のことをいろいろ教えてくれた。

途中から高速に入ったので広島インターで降ろしてもらった。国道2号で市内に行く車だったら呉あたりから四国に向かうつもりだった。広島インターは市内の北にあり島根に向かう54号線と交差している。予定といってもないも同然だが、朝の計画を変更して四国とは反対の山陰の島根に向かうことにした。ヒッチだからこうした変更は朝飯前(後)なのだ。

街中なので車が多い。皆んな飛ばしている。苦労しそうだ。窪みを探して1kほど歩く。しばらくヒッチしていると一人のチャーミングな女性が歩いてきて可部まで行くという。そばに車もないし、女性がヒッチにとまってくれるのも少ないので最初はどういうことか判断できなかった。可部がどの辺だか分からないが街中よりはましだろうと思ってとりあえずお願いすることにした。それが磯辺紀子さんだった。

車は100mぐらい先にとまっていた。ヒッチに気付いてもすぐにとまれなかったらしい。中には二人の男の子がのっていた。広島市内にポケモンの映画かなにか観にいった帰りらしい。風太は早速ファミコンはもってるか、どんなソフトがあるかなどと聞いている。同じ世代の男の子に会えたのがうれしそうだ。

小雨まじりになっていたからかもしれない。突然、家に泊まっていけばと誘われた。思わぬ提案にすぐに返事できなかった。風太は泊めてと即答。よほどファミコンをやりたいらしい。こういう時はほんとうに物怖じしない奴だ。結局よろこんでお世話になることにした。こんなことは長いヒッチ経験でもあまりない。

家に着くと、挨拶もなしに風太たち三人はファミコンをはじめた。子供の世界はストレートだ。もう仲良く遊んでいる。名刺をわたし、こんどの旅のことやいままでの旅のことを話したらとても興味をもってくれた。ご主人は釣り好きらしく大物釣りの写真が壁に飾ってあった。

やがてご主人も帰宅。焼き肉パーティになった。ご主人とは話が合い、釣りのことやインターネットのことなど夜遅くまではなした。とてもいい家族でうれしかった。 こうした体験はヒッチハイクだからこそだろう。もし四国に向かっていたらここにはいないわけだし、タイミングがちょっとずれていればやはりこうした展開にはならなかった。これがヒッチハイクの不思議で面白いところだ。

 

Copyright(C)1999 小島春彦